「強羅花扇」

「強羅花扇」
立ち上げから最近までいた愛着ある旅館です。全室に源泉かけ流しの客室露天がついています。写真をクリックすると口コミ(じゃらんネット)がご覧いただけます。

2009年10月2日金曜日

サービスマンの接客問題① 「続編 ロッキーさんの返信より」

本日「サービスマンの接客問題①」の解答編に関しましてロッキーさんから、次の様な適確な疑問が投げかけられました。物事を表現する事が大変へたくそな私にとっては、渡りに船ともいうべき投げかけでしたので、この疑問をテキストに本日は少しお話させていただきます。

〉そこで思ったのですが、このような配慮をしていただいたら、果たして自分はそれに気づけるだろうか・・・・そして、このカップルは気づくことができたのだろうか?ということです。明らかに食事内容と合わないワインで生臭さが出るというものをセレクトして、料理にいかに合うかを語るというのは、単に何かの受け売りで、ええかっこしいなだけだと思いました。。味覚はそれほど持ち合わせていないと推察いたします。裏方で、配慮したことがわかるような人であれば、最初からそのようなセレクトはしないと思うからです。
 この疑問は正解を①としたその内容に基づいてのご質問でした。
 参考までに先日の解答はこちらです→「サービスマンの接客問題①解答編」
この件に関しての、私の考え方は次の通りです。
 この場合、このホストである男性に気付いていただくとかの問題ではなく、本日お泊まりいただいたこのお二人に「満足してお帰りいただけるか」が最大の仕事と考えます。
 ですので当然気付いていただかなくて結構なのです。一番恐れることは、食事の時間、空間がこのお二人にとって「楽しくなかった場」になることなのです。
 生意気を言わせてもらえば今一つは、このサービスのレベルを保つ事に日々全精力を傾けていますし、その張り合い、緊張感、つらさが私のサービスマインドのモチベーションを保っているのだと思います。
 
〉お料理をお出しする時に、さりげなく、「このワインとお料理をよりお楽しみいただけるように特別 に(ここがポイント)料理長にお願いしまして 煮付けとメインのお鍋にワインを入れさせていただきました」とひとこと添えてお出しする。 それによって、いつか、このお客様が、何かのきっかけで、こちらの配慮に気づかれる日を願って・・・・いつの日にか、それが届けば、忙しい中、対応してくださった料理長にも、義理立てできますし、男性のお客様も、ファンになってもらえるのではないでしょうか?
せっかくのサービスも伝わってこそという面もあるように思います。
 私は謙遜でなく、自分の事を完璧なサービスマンだとは毛頭思っておりません。ですのでもっと素晴らしいレベルのサービスマンの方や、将来の自分が違う答えを出したとしましても不思議はありません。これからの考え方は、そんな今現在の私が最大限考えた解答としてお聞き下されば幸いです。
 私の接客には大きく分けて「攻めの接客」と「見つめる接客」の二通りがあり、ケースバイケースで使い分けています。しかしそれはあくまで接客の技術であり、どちらの場合にいたしましてもその導き出される答えは常に=「お客様がより楽しまれる為に、より感動される為に何がベストか?」でなくてはいけません。(ここだけは断言します)
 この場合確かにお客様の資質を考慮すれば、ロッキーさんがおっしゃる様にお伝えしたとしても問題はないかとも思われます。しかし私の中では残念ながらベターの解答になってしまいます。
 なぜならば、ワインで応急処置をしましたが、あくまで緊急避難的最善をつくしただけです。
味覚というのは千差万別であり、この場合を例にたとえますと「この煮つけ美味しくない。彼が余計な事をアレンジしたからだ」とコンプレイン(苦情)を申し立てられる可能性もケアしなければなりません。その点も考慮いたしますとこの解答がベストではないかと、私は考えたわけです。
 如何でしょうか?
偉そうに書いておりますが、世の素晴らしい先輩に比べると、恥ずかしいくらい私は人間的にぐうたらで至りません。ただ多少でもプロらしいくなっているとすれば、我々はこれらの事を一瞬で判断します。その点だけは15年間ではありますが、現場では常に手を抜かず接客してきた自負はあります。だからサービスマンは面白いんです。

 最後に先ほどのテーマに少し関連したお話を。
サービスマンが成長する過程において大体通るプロセスがあります。
一例を挙げますと
 食事中皿を下げようとお客様の席にお邪魔しました。するとゲストのグラス若しくはゴブレットの下に中身の入った薬が置かれていました。(グラス類には冷たいお水が入っています)
新人サービスマンの場合・・・気付かず皿だけ下げてきます。
新人を卒業した程度〃場合・・・気付いて「お水をお持ちいたしましょうか?」と尋ねます。
中堅サービスマンの場合・・・「只今、お水をお持ちいたします。氷は入れないほうがよろしいですか?」と尋ねます。
優秀なサービスマンの場合・・・「お待たせいたしました、どうぞお使いください」といってぬるめの水をお持ちします。
 中堅サービスまんの対応でも悪くはないと思います。しかし優秀なサービスマンの対応を知るとベターの答えにしかならないと思いませんか?
 そのお客様の常識に「薬はさ湯が一番吸収がいい」とインプットされていた場合、「氷を入れないことぐらい常識じゃない」とベターどころかダメ出しされる事もあります。
 またサービスが楽しくなったときに陥りやすいのですが、軽くこちらからシグナルを出し、「気付いて褒めてほしい」という、後で思い返すと赤面してしまうような時もあります。勿論私もありました。
 私はこれを「あざといサービス」と呼んでいますが、確かに線引きは難しく、攻めの接客とは紙一重ですから、気付いた時に教えてあげるようにしています。

 
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2 件のコメント:

  1. あびたろう2009年10月3日 0:15

    のっぽさん、今日もこんばんは!

    実は、接客問題の回答で私なりにコメントを書いたのです。しかし初めから何度も送りつけるのもなんだかと思い保留していたのですが、今回このような話が出ましたので思い切って書き込んでみますね。


    問題の回答ですが、文句なしに①ではないでしょうか。
    客商売の一番の基本であり前提条件ともいえるのが「ご満足いただけましたでしょうか?」だと思います。
    いかにも知ったかぶりをしている客、こういう客に対しては、本人が珍妙な薀蓄を垂れていても自尊心を傷つけることをすべきではないと思います。こういう人間ほど、過剰に反応することが多いように思います。
    その結果、客の中に気まずい雰囲気を作ってしまったら、それこそサービス業失格だと思いますが。

    それに「蓼食う虫も好き好き」という言葉があるように、他人には理解できないような好みを持っているかもしれません。本人にとっては「他人になんと言われようが、好きな物は好き」という人間もいます。生臭物が大好物なのかもしれません。

    以上より、自己満足に浸らせてあげることが正解ではないでしょうか。

    返信削除
  2. 思うままに書き連ねたコメントに、
    ご丁寧な返信をいただき恐縮しております。

    サービスというものを常に真剣に考え、
    お客様と向き合っているサービスマンは、
    その時の状況から、起こりうる様々な可能性を想定し、
    最良の対応を一瞬のうちに判断して
    日々、模索しながら研鑽を重ねていらっしゃることが
    わかりました。

    サービス業に携わってはおらず、
    経験も全くない立場ですが、
    何を第一に考えたかといいますと、
    のっぽさんと同じように
    「お客様がより楽しまれる為に、より感動される為に何がベストか?」でした。

    サービス経験のない立場ですが、
    文字だけの情報から、一瞬で判断したのは(笑)
    このお客様は、味覚に対してそれほど
    長けているわけではないだろうということ。
    従って、煮物にワインを入れるという配慮をしても、
    その変化には気づかないだろう・・・・

    ということで、「この煮付け、おいしくない」という
    クレームにはつながらないだろうというのが、
    素人なりに考えた判断でした。

    それよりも、この方の場合は、
    女性の前で、いいところを見せたい。
    それならば、「特別に対応しました」というトークが、
    俺は、ホテルに特別のサービスさせたんだぞという
    より一層の満足感と、女性の前で
    カッコつけるための一助になると考えました。


    「特別に」という言葉に、いろいろな意味を持たせ、
    今の段階では、男性の自尊心をくすぐるという意味で、
    満足を得られるのではないかと・・・・

    そんなことを思いながら、気づきました。

    基本は、お客様を喜ばせるためと考えてはいたのですが、
    心のどこかに、ソムリエ試験の答えのように、
    上から目線があったということです。
    どうせ、味なんてわからないお客さんのようだし・・・
    ウンチクをたれ、ミエを張っていたいんだろうからと・・・・


    そしてサービスマンなら、だれしも、
    認められたい、気づいて欲しいという気持ちが
    あると思います。
    見返りを求めず、サービスにあたるのは
    理想だと思いますが
    なかなかその境地に達するには時間も経験も必要でしょう。

    のっぽさんのように、
    それを超越して、真のサービスを提供できるようになるには、
    時間と経験、そしてなにより、
    常に向上しようという意識が必要なのかなと感じられました。

    返信削除

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