「強羅花扇」

「強羅花扇」
立ち上げから最近までいた愛着ある旅館です。全室に源泉かけ流しの客室露天がついています。写真をクリックすると口コミ(じゃらんネット)がご覧いただけます。

2009年9月29日火曜日

サービスマンの接客問題① 「解答」

お断り:この解答はあくまで私個人のサービス感での解答です。決して他のサービスを否定するものではありません。

多分それぞれの答えに、それぞれの理由で解答が寄せられる事だと思います。
個人的には非常に難しい問題です。

私が選ぶ解答は・・・・・・1です。

5~6年くらい前の私でしたら多分迷わず②と答えていたと思います。お客様の気分を損なうことなく自らの過失に遜る。所謂「謙譲の美徳」とでもいいますか・・。ただこの場合、個人としてのミスならいいのですが、宿の「ブランド」まで汚してしまう事につながります。基本的にあってはいけませんが、やむ追えない事由で品切れが起きてしまった場合、オーダー時に予め告知させて頂くことが最善のサービスだと心得ます。よってこの場合には「なんだよ、じゃ初めから言えよ!!」となります。

③ソムリエの方に聞きますと、実は以前同じような問題がソムリエ試験ででてた事があるらしいです。その段階では③が正解だったそうです。類まれな話術を持ち、絶対的な知識への自信があり且つお客様に恵まれればこれが正解も成り立ちます。但し③が正解の場合、そのサービスマインドには「上目線の気持ち」が1%でも入っていないでしょうか?
私は別段、「お客様は神様である」論者ではありません。しいていえば「お客様は王様」でしょうか?
理想は信頼関係ができた案内人とゲストの関係ですが・・・

話は戻ります。
先日の「甲州ワインと京会席のマリアージュⅡ 強羅花扇メニュー編」で述べさせていただいた通り私の思う料飲サービスにおけるサービスの基本は、「お客様に楽しいお食事の“空間”と“時間”を提供する」事です。この場合ですと、お連れ様にかっこいいところを見せたい男性ホスト(主役)の顔を立て差し上げることがプロのサービスマンの仕事だと考えています。ただこの場合、プロの仕事を完璧にさせて頂くとしたら少しだけ「魔法」をかけなくてはなりません。

 心配顔の担当の女性を残し、支配人は厨房へ向かいました。
「料理長すいません。」
忙しさがピークの料理長は又何かめんどくさい事を言ってくるのか?と明らかに不機嫌な顔です。
「今このワインのオーダーが入ったんですが、残念ながら今日の料理だと魚の生臭さが出てしまうかもしれません。予め煮つけとメインの鍋にワインを入れて調理しておいて頂けませんでしょうか?」「ふざけんな!!そんなめんどくさい事できるか?なんでそんなワインのオーダーを受けてんだ、バカヤロー」案の定、すぐにはOKしてくれません。当然です。でも好い宿なら最後には料理長が折れて下さいます。でもこの支配人は好かれませんが・・・

洋食の場合ですとソースをかけることが多く、ソースでアレンジする事ができますが、和食は洋食ほど簡単ではありません。しかしながら先述しました「甲州ワイン」や我々の勉強次第でこのような場面は確実に和食の現場からも減って行くと思っておりますが。

 実はこの問題にはもう一つオチがあります。
それは・・・是非宿泊業経営者の方に聞いて頂きたいことです。
この支配人はまだ役職がありますから止むをえません。が、しかし似たようなサービスの現場でスタッフが同じことをした時に、「怒らないであげて欲しいのです」むしろ「褒めてあげて下さい」。
売上にお悩みの経営者方の本当の仕事は、こんな時皆が褒めて協力してくれる空気をつくることなのです。
 「そんな事できるわけないじゃない」「めんどくさいことばかりいいやがって」怒られたスタッフは二度と積極的なサービスはできなくなります。 
 良く「そんな時は誰か責任者にきいてから返事しなさい」という方もいらっしゃいます。お客様の感動を引き出すサービスは「一瞬」が勝負です。その気になった時どう対応できるか?ぎりぎりの勝負なんです。
 いいサービスマンを育てればご自分に跳ね返ってくることを忘れないで頂きたいと切に願います。

にほんブログ村 旅行ブログ 温泉・温泉街へ
にほんブログ村 クリックまでしていただきありがとうございます。

4 件のコメント:

  1. すばらしい。
    サービスって奥が深いですね。

    返信削除
  2. 問題を読ませて頂いた時、自分の回答は『1』でした!
    『2』でも良いとは思うのですが、“用意がなってないトコだなぁ・・・”と思われてしまっては、私1人の失態で済まなくなります。

    よって『1』にしてしまうと思います!


    ちなみに、私も「お客様は神様」反対派です(笑)

    お客様は大切ですが、神様になられてしまうと私達サービスマンは召使いや弟子のようなポジションということになってしまいます。

    昔のドラマで【王様のレストラン】というのがあったのをご存知でしょうか?
    私がけっこう好きな作品だったのですが、その中の主人公に伝説的なギャルソンが出てくるのですが、彼が言った一言がとても気に入っています。

    『私は先輩のギャルソンに、お客様は王様であると教えられました。しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられた奴も大勢いると。』

    のっぽさんがおっしゃる通り!
    私もお客様は王様だと思います。

    そして私達サービスマンは召使いではなく、「師匠」だと思っています。

    その宿、そのレストラン、その遊園地、そのカフェについて誰よりも知っている(べき)人が、そこにいるサービスマンだと思うからです。

    サービスの仕事、これから一緒に盛り上げていきましょー!!
    宜しくお願い致します★
    ありがとうございます。

    返信削除
  3. 匿名さん
    コメントありがとうございます。
    まだ慣れていなくて返信のしかたがわかりませんでした。
    「サービスって素晴らしい」我々にとっては最大級の褒め言葉です。ありがとうございます。気持ち良いサービスは皆が幸せな気分になれますよね。今後もご贔屓下さいませ。

    マイさん
    ご丁寧な返信ありがとうございます。
    返信の内容からいきなり離れますが、マイさんのHPを拝見した時、生意気ですが久しぶりに同類の臭いがしました(笑 
    マイさんの回答をお聞きしてとても嬉しい自分がいます。
    解答内容は別にして、自分たちなりの考えをもって接客している。素晴らしい事ですし嬉しくなりますね。
    マイさんは、この素晴らしいサービスの仕事の伝道師として活動しているとお見受けしております。私はその素晴らしいサービスマンたちが潰されないよう、また失望しないような水槽鉢(受け入れ先)をもっと増やしたいと思っています。クライアントになるであろう経営者さんを怒らせてどうするんだとも思いますが、経験上今の立場でなければできないかな?と
    今晩の更新楽しいみにしております。

    返信削除
  4. 気になるコンテンツが一杯で・・・・

    この問題、私も解答を、考えてみました。

    2は、一見、プライドを傷つけることなく、
    よさそうだけど
    やはり、このホテルは在庫管理ができていないのね。
    と思われるだろうな・・・と思いました。
    (というより、私だったら
     そう頭をよぎるなぁ・・・と)

    3は、どんな話術でどんな知識で話したとしても、
    否定されたという印象は否めないこと。

    同席したセレブ系の女性になったつもりで、
    そのやりとりを見ていたら、
    「あらこの人、口ばかりなのね・・・・」とがっかり。

    ということで、答えは1番でした。

    ミエを張りたい男性ゲストだけでなく、
    同席した女性の立場で考えても、
    1番が妥当だと思いました。

    そしてさらなる「プロの魔法」痛み入りました。
    ここまでくると、プロ中のプロのなせる業ですね。

    そこで思ったのですが、
    このような配慮をしていただいたら、
    果たして自分はそれに気づけるだろうか・・・・

    そして、このカップルは気づくことができたのだろうか
    ということです。

    明らかに食事内容と合わないワインで
    生具さが出るというものをセレクトして、
    料理にいかに合うかを語るというのは、
    単に、何かの受け売りで、
    ええかっこしいなだけだと思いました。。
    味覚はそれほど持ち合わせていないと推察いたします。
    裏方で、配慮したことがわかるような人であれば、
    最初からそのようなセレクトはしないと思うからです。

    (そんなことは、のっぽさんも
     感じておられるかもしれませんが、
     立場上、そのようにはおっしゃれないのかと)


    ということで、
    お料理と合わないワインが選ばれた時の対応策として、
    ノウハウを持ちつつ、
    現場の手を煩わせるに見合う効果があるかどうかというのも、
    一つの視点ではないかと感じさせられました。

    お料理をお出しする時に、
    さりげなく、
    「このワインとお料理をよりお楽しみいただけるように、
     特別に(ここがポイント)料理長にお願いしまして
     煮付けとメインのお鍋にワインを入れさせていただきました」

    とひとこと添えてお出しする。
    それによって、いつか、このお客様が、
    何かのきっかけで、こちらの配慮に気づかれる日を
    願って・・・・

    いつの日にか、それが届けば、
    忙しい中、対応してくださった料理長にも、
    義理立てできますし、
    男性のお客様も、ファンになってもらえるのではないでしょうか?

    せっかくのサービスも
    伝わってこそという面もあるように思います。

    伝わろうが伝わるまいが、
    最良のサービスをというのが真髄とは思いますが、
    なかなか難しい面もあると思います。

    せっかくのサービスが埋もれないために・・・・

    返信削除

「阿寒グランドホテル 鶴雅」爽快な露天風呂

「阿寒グランドホテル 鶴雅」爽快な露天風呂
サービスマン人生デビューのお宿。どれをとっても日本で有数の温泉リゾートホテルだと思います。大西社長ありがとうございました。

「ホテルサンバレー伊豆長岡」六角檜風呂

「ホテルサンバレー伊豆長岡」六角檜風呂
サービスマン人生2件目のホテルです。損益分岐点が高く苦労しましたがホテル運営の全体像が勉強できた思い出深いホテルです。新田社長ありがとうございました。